【最悪、死ぬぞ】誰かを大切に思うなら、まず自分を大切に。
無理するな。
最悪の場合、死ぬぞ。
愛するダーリンがぶっ倒れ
素敵なお顔と首が大変なことに
なってしまいました。
同じような症状で悩んでいる誰かのために
記録を残しておこうと思います。
結構生々しい表現もでてくるので
ちょっとだけ覚悟して
読んでいただければと思います。
■痛みの始まり
異変が起きたのは2018年10月31日水曜日。
お仕事から帰ってきたダーリンと
一緒にバスタブでおしゃべりしている時でした。
「痛くてじっとしていられないから先に出るね」
この時のダーリンは
まだ私に事情を説明するだけの
余裕がありました。
私はてっきり
「ダーリンのアトピーがひどくなったのかな」
と思っていました。
ダーリンもいつものように
いつも塗っているお顔用のアトピーの軟膏
「プロトピック」を塗って
ベッドに入ったのでした。
■焼けただれるような痛み
翌日の2018年11月1日木曜日、
いつものように出社していくダーリン。
私からは特段変わった様子には
見えなかったのですが
ダーリンは通勤中もお仕事中も
かなり我慢していたようです。
そして、帰ってくると
用意しておいたダーリンの大好物のカレーを
いつものように食べ始めてくれていたのでした。
「ごめん…痛くて食べられないや」
そう言うとダーリンはスプーンを置いて
見たことないくらい辛そうな表情を
していたのでした。
こんなこと今までありませんでした。
ダーリン本人も
「これまでのアトピーで一番ひどい」
と言っていました。
いつものお薬を塗るために
お肌を清潔にしようと
ダーリンはお風呂に入りました。
すると症状は急激に悪化。
お風呂からうめき声が聞こえてきました。
出てきたダーリンの顔と首には
無数の水泡が広がり、
中にはつぶれてしまって
皮膚がめくれて真っ赤になってしまっている
部分もありました。
「いつものアトピーとちがう」
「まるで火傷のようだ」
痛みに耐えながらダーリンは言いました。
■救急病院へ
その姿に、ただ事ではないと思った私は
インターネットで皮膚科のある病院を探し、
ダーリンを近所の救急病院に連れて行きました。
夜間診療をやっているところです。
熱を測ると38度。
血圧や脈拍もいつもより
ずいぶん高い状態でした。
「今の時間、皮膚科医はいないんですよねー」
夜勤担当の医師はそう言いました。
そういうものなのか…。
サイトには書いてなかったけど…。
(どこかに小さく書いてあったのかな)
ダーリンの症状を診てもらうこともできず
痛み止めだけ処方してもらい帰ることに。
帰ってきた後、症状はさらに悪化。
痛みでダーリンの震えが止まらなくなり
なんとか頓服薬を飲んでもらうも
そのまま気絶してしまいそうなくらいでした。
呼吸も早く乱れる一方で
もう会話はできない状態でした。
■救急車
すぐ#7119に電話して状況を説明しました。
すると「今すぐ救急車を呼んでください」
とのことで、119へ電話。
5分程度で自宅まで救急車が来てくれました。
しかし、夜間はどこの病院も
皮膚科医がいないらしく
受け入れ先の病院は決まりませんでした。
救急隊員の方が電話で
受け入れ先を探してくださっている間
仕方なく、救急車の中で30分ほど過ごしました。
その間に頓服薬が効き始めたのか
呼吸も脈拍もすこし落ち着き、
ダーリンは「はい」と「いいえ」程度の
受け答えができるようになりました。
結局、どこの病院も行くことができず、
自宅に戻って、痛みに耐えながら
一晩過ごすことになったのでした。
■総合病院
痛み止めを飲んでもらうも
ダーリンの痛みはおさまることはなく
ほとんど眠ることもできないまま
朝を迎えました。
もちろん仕事に行くことができるわけもなく
電話で会話して事情を説明することも
できる状況ではないので
社内連絡用のアプリを使って
お休みをいただくことになりました。
とろとろにしたパンがゆを
なんとか食べてもらって
痛み止めを飲んでもらい
午後から総合病院に行きました。
平日のお昼だったのですが
まさかの皮膚科医は不在。
「今日は外科医と内科医しかいない」
ということでした。
(この病院のサイトにも「皮膚科」としか
載ってなかったよ…)
(総合病院には常に皮膚科医いると思ってた…)
(インターネットに頼らず電話すればよかった…)
念のため血液検査とCTを撮り、
点滴を打ってもらうことに。
やっとの思いで来た総合病院でも
原因はわからないままでした。
歩けなくなってしまったダーリンは
病院内を車いすで移動することに。
処置室でしばらく点滴を受けて
痛み止めが効いてくる
タイミングを待ちました。
■遠くのクリニックへ
結婚して引っ越してくる前に通っていた
小さな皮膚科のクリニックなら
原因がわかるかもしれないし
紹介状を書いてもらえるかもしれないと
総合病院の医師からアドバイスをいただいたので
痛み止めが効いてきたタイミングで
向かうことにしました。
皮膚科と内科のある小さなクリニックで
電話で確認すると「来てください」とのこと。
インターネットで予約ができたので
到着後まもなく診察室に案内してもらえました。
ダーリンの姿をみるなり、
すぐに皮膚科の先生は
「これは…アトピーじゃない。ヘルペスです。」
とおっしゃいました。
てっきりアトピーが悪化したと思っていた
我々夫婦は驚きました。
そりゃアトピーのお薬も効かないわけです。
かなりひどい状況になっているみたいで
大学病院への入院を勧められました。
そして県内の病院に直接電話して
あたってくれることになりました。
しかし金曜の午後に入院を受け入れてくれる
病院は結局見つからず、
「月曜になったら入院できそうな病院へ」と
仕方なく特効薬を処方してもらい
再び自宅へ戻ることになったのでした。
■耐え続ける土日
いただいたヘルペスの特効薬は
ウイルスの繁殖を抑える役目があるそうで
すぐに劇的に良くなるわけではなく
改善がみられるようになるには
5日から1週間ほどかかるとのことでした。
月曜になったら皮膚科の入院を受け入れている
大きな病院にかかるようにと
紹介状も書いていただきました。
入院受け入れしてもらえない土日は
ひたすら痛み止めと特効薬で耐えるのみ。
インターネットでいろいろ調べてみるも
同じような症例は見つかりませんでした。
■限界
日曜の朝、ダーリンの容体が悪化しました。
顔が化膿して腫れ、目も口も開かず、
熱は38.5度を超え、痛み止めも効かない状態。
これで月曜まで我慢しろってのか…!!
そんな病院側の都合しらんがな!!
ヘルペスで死んだらどうするんだよ!!
死ななくても、もし障害のこったら…!!
ということで、いろんな決まり事を無視して
総合病院という総合病院に
手あたり次第電話しました。
予想通り、入院拒否。
「日曜日なんで」
そんなの知るかー!!!
すると、1件だけ
「内科医しかいませんが来てください」と
答えてくれる総合病院が!
もうこれに賭けるしかない!!!
急いでタクシー会社に電話しました。
しかし、どこのタクシーも30分待ち。
仕方がないので119に電話し、再び救急車に
来てもらうことに。
救急車に乗るなり事情を説明し
受け入れてくれる病院へと
すぐに向かってもらったのでした。
■どうしてここまで放っておいたの?
総合病院に着くなり、
ダーリンはすぐさま処置室へ。
私は書類を記入してほしいと
待合室に案内され離れ離れに。
処置室から出てきた看護師さんが
緊急入院させるといった旨の内容を
私に伝えるとともに
「どうしてここまで放っておいたの?」と
質問しました。
私は事の顛末を手身近に説明しました。
そりゃ、何も事情を知らなければ
ひどい嫁に見えるだろう。
すると看護師さんは驚いた表情をして
「ごめんなさい」と謝ってくださいました。
いやいや、あなたは悪くない。
むしろ入院を受け入れてくれた
たった一つの病院の人じゃないか。
看護師さんの言葉通り
ダーリンはかなりひどい状態のようでした。
脳炎になっていないかCTを撮り、
血液検査もしました。
(通算何度目だろう…)
■皮膚科医、駆けつける!
急遽、皮膚科の先生が
駆けつけてくれることになり
きちんと診断してくださることになりました。
それまでに車いすで入院病棟へ移動。
意識が朦朧としているそんなときまで
私のことを心配するダーリン。
(出産予定日が近いので…)
友人たちも病院へ駆けつけてくれました。
しばらくすると、待ちに待った
皮膚科の先生(美人)登場!
お休みだったにも関わらず
とても丁寧に診察してくださいました。
診断はやはり「単純ヘルペス」。
アトピーの患者さんに関しては
「カポジ水痘様発疹症」とも呼ぶそうです。
一週間の入院が必要とのことでした。
原因は過労。
ほどなくして顔と首全体を
処置してもらうことになり
びらんで大変なことになってしまった
ダーリンのイケメンフェイスが
包帯でぐるぐる巻きに。
炎症を起こしている目は
軟膏でふさぐ形になりました。
■後遺症のおそれ
単純ヘルペスが顔にできたときは、
脳炎による言語障害や
角膜炎によりる視力の低下が
のこってしまう場合があるそうです。
早めに処置をすればその可能性も
低いとのことだったのですが
今回、入院受入拒否が続いたこともあり
処置開始が遅くなってしまっている
…とのこと。
最悪の場合、死に至ることもある
病気ということなのですが、
今回は命に別状はありませんでした。
■会社を休む
当然、月曜からしばらく
ダーリンは会社を休むことになりました。
しかし、頑張り屋さんで我慢強いダーリンは
お仕事のことが気になっているようでした。
ここで無理をしたら、死んでしまったり
後遺症が残ってしまうかもしれない。
そうなったら本末転倒だ…ということで
しっかりと納得してもらい、
目の見えなくなったダーリンの代わりに
会社の事務の方とやり取りさせて
いただきました。
■受けられる保障
うちは共働きで貯金が好きな夫婦なので
入院や治療にかかる費用、
そしてお仕事を休んでいる間のマイナス分は
なんとかなりそうではあったのですが
一応、保障についても調べてみました。
参考になるかと思うので書いておきます。
限度額適用認定証
医療費が高くなってしまいそうなとき
申請すれば、所得ごとに決められている
「自己負担限度額」よりも多く
払ったお金が返ってくる制度です。
入っている健康保険の保険協会に
申し込みます。
傷病手当金
けがや病気などで会社を休まなくては
ならなくなってしまった場合、
連続して3日の待機期間の後から最大1年半
月収の三分の二の金額がもらえる制度です。
なお、待機期間の3日間に関しては
有給休暇として会社側に申請することも
できるんだそうです。
仕事とは関係ないけがや病気に適用されます。
労災保険
もしけがや病気が仕事中や通勤中の
業務やストレスが起因しているのもだと
認められる場合は労災保険が適用されます。
医療保障給付や休業補償給付などがあり、
労働基準監督署に申請すれば、
あとからお金が返ってきます。
また、入院先が労災認定病院の場合、
入院や治療にかかったお金を
労働基準監督署に直接請求してくれる
システムもあるそうなので、
退院時にお金を払わずに済むケースも。
また、傷病手当金と併用はできないので、
先に傷病手当金をもらっている場合は
もらったお金を返納する必要があります。
入院保険
もしあらかじめ任意の
入院保険に入っているなら
保険会社にも連絡してください。
入院時の食事代など、期間が長引けば
結構金額がかさむもの…。
持病など対象外になるもの以外は
きっと助けになると思います。
■目が見えない
炎症が目の中まで広がってしまっていたため
治療のために眼軟膏を使用しました。
目の中にも、目をふさぐ様に塗りました。
そのため目が見えず、
食事やお手洗いや入浴など
介助が必要となりました。
私はフリーランスな上に
どこでも作業できるので
つきっきりで介助できましたが
ご家族が会社員で休めないと
なかなか難しいですよね。
入院開始から5日間は、ダーリンは
とても不便そうでした。
■頭痛と高熱
断続的な頭痛と高熱にも悩まされました。
ひどい場合は脳炎になることもあるそうで
脳のCTもトータルで3回ほど撮りました。
症状を薬で抑えるものの、
どうしても効かない部分があるようで
終始ぐったりしている様子でした。
痛みで夜も眠れない日々が
続いたそうです。
■食事が摂れない、喋れない
顔中が炎症を起こして腫れたり
水泡が割れて化膿したりかさぶたになったりで
口を少ししか開くことができませんでした。
食欲もあまりなく、ゼリー状の栄養ドリンクを
少しずつ飲んでもらったり、
ペースト状にしてもらった病院食を
小さなスプーンで食べてもらったりしました。
また、喋ることもできないため
会社への連絡はもちろん
看護師さんとの意思疎通も
なかなか大変でした。
■回復
入院6日目あたりから、
劇的に回復してきました。
全体的にただれていた顔や首は
ほぼ皮膚の再生を待つ状態になり、
徐々に本来の顔にもどってきました。
それに伴い、高熱や頭痛もおさまり
食事も摂れる様になりました。
目も少しずつ見えるようになり
お手洗いやお風呂も一人でできるように。
こうなってくると精神的にも回復し
やっと退院に向けての意欲も
見られるようになりました。
■退院
完治には程遠い状態ではありましたが
ヘルペスウィルスはほぼやっつけられて
あとは皮膚の再生を待つのみということで
入院から8日目に
退院できることになりました。
頭痛は多少残っていましたが
体温は平熱に戻っていました。
ひとりで歩けるようになるまで
回復していたので、
バスで自宅へ戻ることにしました。
気になる入院費は91,000円。
なかなかの金額でした。
目が光に弱い状態になっているようで
隣接しているショッピングモールで
サングラスを購入しました。
■自宅静養
10日間の自宅静養が必要との診断だったので
引き続き仕事を休んでもらいました。
目も見えづらいので
出社しても仕事にならないのは
ダーリンもわかっているようでした。
普段、残業で終電近くに帰って来ていたため
短時間しか睡眠をとれていなかったので
この機会にしっかり
寝てもらうことにしました。
寝て起きてまったりしてご飯食べて
患部以外ゆっくり湯船に浸かって
ソファーで癒される音楽を聴いて
またベッドでゴロゴロして…。
忙しかった毎日にできなかった
「思う存分ゆっくりする」ということを
いーっぱいしてもらいました。
だんだんと心のコリもほぐれたようで
夫婦水入らずで過ごす時間を
とても幸せに感じてくれているように
見えました。
頭痛もおさまってきて
皮膚の再生も順調に進みました。
■現在
自宅静養5日目。
以前の優しくて余裕のある
素敵なダーリンに戻りました。
まだまだ全快とはいきませんが
日常生活は無理なく
できるようになりました。
もうすぐ生まれてくる赤ちゃんを
迎える準備もできるようになりました。
大切な人が元気でいてくれる…
それだけでどれだけ幸せなのかを
改めて実感しています。
そして、前よりもたくさん
「ありがとう」と「大好き」を
伝えるようになりました。
■わかったこと
・総合病院などの大きな病院ほどやっつけ仕事
融通はほとんどきかない
・大きな病院ほどサイトの内容が不十分な印象
行く前に必ず電話すべし
・小さなクリニックの方がウェブ予約できたり
イレギュラー対応してくれる
・平日出勤の普通のサラリーマンが皮膚科で
入院するのは、かなりハードルが高い
・症状を我慢して無理に会社に行ってしまうと
入院できるタイミングを逃す
・無理すると、最悪の場合、死ぬ
いかがでしたか?
今回、本当にダーリンのことが大切なんだ
ということを痛いくらい実感しました。
「ダーリンがしんどい」ということが
自分にとってもこんなにしんどいなんて。
とてつもない痛みに耐えながら震えて
気絶してしまうのではないかと思うような
ダーリンの姿を見た時も、
水泡だらけになってしまった顔で
「こんな顔でも好き?」と訊く
ダーリンの不安そうな声を聞いた時も、
「あ!私この人のことめちゃくちゃ大切なんだ」
と心の底から思いました。
交際0日からスタートした我々夫婦は
すでにいろんなものを超えてるな
と感じました。
両親も兄弟も早くに天国に行ってしまい
ずいぶん長い間一人に慣れていた私にとって
この「夫婦+家族」へ対する想いは
とてつもなく大きくて幸せな衝撃でした。
最後に、
誰かを大切に思っているならば
自分を大切にしてください。
そして、その人とゆっくりする時間も
大切にしてくださいね。