教育と虐待は違う。

以前、バルーンショーのとき、
胸をぎゅーっと締め付けられる
ことがあった。

いつも、イルカショーの時みたいに、
元気よく手を挙げてくれた
ちびっこをピックアップして
ステージへ招待し、
バルーンのお手伝いしてもらって、
お手伝いのお礼として一緒に作った
バルーンアートをプレゼントする。

その日、
バルーンショーが終わった途端、
怒鳴り声が響き渡った。
「ほら!何やってるの!
 もっと大きな声だしなさいよ」
「もっと目立つように手を
 挙げないとダメじゃないの!」
「アンタがそんなんだから
 舞台あがれないんでしょ!」
「バカじゃないの?
 もう知らない!」
声の主は、
自分の子供を責めているママ。
お客さんとして、
大勢いる中のひとりだった。

口で罵られるだけならまだいい。
頭を叩かれていたり、
背中をどつかれていた。

ワクワクしながら
楽しいショーを見ていた子供は、
どんどん萎縮して固まって、
ついには泣き出した。

まわりの観客たちも引いていた。

そうすると、
そのママの次のターゲットが
スタッフさんに移った。
「最初からバルーンショーを
 見ていたのに、
 この子がバルーンアートを
 もらえないなんて
 可愛そうだと思わないの?!」
「なんとかしてよ!」
すると、子供はさらに激しく
泣き出した。

子供の頃の自分が
フラッシュバックした。
ウチの母親もこんなんだった。
恥ずかしくて怖くて辛くて逃げたくて
「誰か助けて」って思ってた。
たまに誰かが助けてくれるんだけど、
そのままその人の子供に
なるわけにもいかない。
そうなると、その人がいなくなった後
いつもの倍くらい辛いことが
待っていたりするから最悪だった。

子供は親の所有物ではない。
経験が浅くて、不完全で、
守られていなくては危うい
存在かもしれないけれど、
立派なひとりの人間なんだ。

教育と虐待は違う。

決定的に違うのは
「相手をリスペクト
 しているかどうか」だ。
子供だからと相手の気持ちを
無視するとロクなことがない。
我慢し続けた子供の心は歪み、
穴が開き、その穴を埋めるために、
残りの人生を使うことになる。
親の身勝手で、
子供の人生がぐちゃぐちゃになる。
そんなことが許されるわけはない。

こんなことになるなら
バルーンショーを
やめようかと思った。
ショーの内容に問題が
あるんじゃないかと頭を抱えた。

今もまだ悩んだままだ。